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第1回「ながいけの道」の模様

by Genya Nakamura last modified 2010-04-04 12:40

10月10日を振り返って

2010年2月14日(日)

イベント終了の1週間後に、私たちスタッフは反省会を行いました。そこで様々な反省点や意見、感想が話されましたが、ここでは私の視点から見たこの日の感想と反省点を述べていきたいと思います。

 

台風の影響

この日を迎えるにあたって、かねてから特に心配していたことがありました。それは天候です。野外での活動であるが故の宿命とでも言いましょうか、こればかりは切っても切れない縁です。そしてよりによってこの時期に台風が連続して日本に上陸していました。

しかし、本番の数日前に運良く台風が過ぎてくれたおかげで、無事にこの日を迎えることが出来ました。ただ現場がかなりの影響を受けているだろうと予想していたので、私はこの日の早朝、現場の状況を確認しに行きました。

結果、思っていたとおり、あたりは台風によって折れた枝や木の葉が道の上に散乱していました。しかし、このぐらいの状況であれば問題はありません。

ところが、台風の影響は別なところで現れました。

それは台風の雨によって土が水分を含み重くなり、ただでさえ粘質性のその土をふるいにかけても、土の粒子と粒子とがくっつきあい大きなつぶとなっていつものように落ちてくれません。そして落ちないばかりか、ふるいの目に粘りついてしまう始末。そのため、この日一日の制作をしていく上で、いつもよりもかなりの時間がかかってしまいました。

このような状況の中で、スタッフが目の大きな特大サイズのふるいをいくつか用意してくれました。そしてこの特大サイズが第3部で植物や昆虫を描いていくのはもとより、第2部の幾何学模様を大きく描いていく中で、効率的により多くの土を落としてくれるものでした!

今後の活動においても、このような状況に対し柔軟に対応していかなけれなならないということを肌身で感じ取りました。

1-4 左写真: 特大サイズのふるいで土を濾過するスタッフ

 

参加者とのコミュニケーション(第2部と第3部とのつながりかた)

私はこの日、アートチームに加わり、第2部の制作を他のスタッフとともに午前中から始めていました。当初の予定ではこのイベント時間を午後の13:00~15:00の2時間としていたのですが、前回までのワークショップでの経験から、午前中から始め、ある程度作品が出来ている状態のほうが、市民の方々がこのイベントに参加しやすいのと同時に、このイベントの趣旨の理解、関心を促すことが出来るのではないかと思ったからです。そして私たちも定時より、ゆとりを持って市民の方々とコミュニケーションをとりながら一緒になって制作を出来るのではないか?

結果的に、そのコミュニケーションにおいて、私たちアートチームと第3部を受け持っていた受付チームとの間に違いが現れてしまいました。

その原因は「このイベントの目的を何に置くのか?」 このことからきてしまったようです。

つまり、私たちアートチームが終始作品の完成を目的としてしまったのに対し、受付チームは市民とのコミュニケーションを目的としていた。結果、本当であればこの「ながいけの道」全体の中でつながるべく第2部と第3部との間に隔たりが生まれてしまいました。

またその他の原因として、制作の進行と設計図にも問題があったかと思います。

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第2部「開発」を制作するアートチーム

第3部「新しい里山文化のかたち」を制作する受付チーム

 

  • 制作進行

第3部「新しい里山文化のかたち」を制作する受付チームは、市民の方々に参加を呼びかけ、このイベントの内容を伝え、制作のデモンストレーションを行うと同時に一緒になって制作を行っていました。その進行方向はこのながいけの道の入口から長池に向かって進んでいきました。一方私たちアートチームは第2部と第3部との接点から始まり、同じく長池に向かって進んでいきました。つまり、私たち2チームは同じ向きで進行し、決して鉢合わせになることがなかったのです。その結果、午後になり、受付チームと参加者の方々が第3部の80メートル付近を描き始めるにあたって、そこで初めて第2部の制作跡と顔を合わせることとなりました。

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 第2部と第3部との接点付近。

 手前が第3部を描いている参加者の親子。

 奥が第2部を制作しているアートチーム。

次回につなげる改善策として、その目的もそうですが、その進行方向が向き合うようにしてはどうだろうか?または始めにその接点から始めてみるというのも考えられます。 

 

  • 設計図  

“つながる”という点において、もう一つの問題点は、私が提案した設計図がまだうまくつながっていない、または滑らかに描かれていないという点です。別な言い方をすると、確かに今回「長池公園の歴史」というストーリーのもと、大きく3つのパートに分け、以前にもましてとてもダイナミックなかたちへと創造できたのではないかと思います。しかし、その各パートにフォーカスしすぎてしまった分、300メートルの絵が明確な3ブロックに分かれてしまった。(ブロック同士のつながりがぎこちなかった。)このこともおそらく市民の方々と我々スタッフが一緒になって実際に描いていく中で不自由をきたすのではないかと思います。そのため、次回に向けてもう少し図案をより滑らかに奏でていきたいと思います。

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上図: 第2部と第3部との接点 

  

 

溶け合う

しかし、今回のイベントでは反省点だけでなく、大きな収穫もありました。

それはこの日だけで約80名もの市民の方々がこのイベントに参加してくださり、意見を交わすことができたこと。作品を完成することはできなかったけれども、初めて各部を同時に制作し、全体の様子を把握することが出来たことなどなど。

私にとっての大きな収穫は、「全てが溶け合ってきている」と実感することが出来たことです。特に受付チームのスタッフのおかげで、人と自然と時間とその場所が豊かに溶け合っている、そう感じてなりませんでした。この写真は後からスタッフにいただいたものですが、私はこの写真が特に好きです。言葉ではとても説明が出来ないのですが、この絵の中に7月の初めて行ったワークショップからイメージしていた形がはっきりとあるのです。

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そして、この有機的な溶け合いが今後、第1部と第2部のエリアにも、また公園の外へにも広がっていってくれたらと思っています。

 

驚きの市民パワー

私はこの日、アートチームと午前中第2部の制作を行ってから、奥の第1部「開発以前の多摩の自然」へと移っていました。そのため、第3部の状況をお昼以降から見ていませんでした。

午後3時の時点でこのイベントが終了し、参加者の方々と一緒に「観賞ツアー」を行うために入口へ戻ると、そこには前にもましてたくさんの植物と昆虫とが描かれていました。正直私はこの光景に圧倒されました。

こんなにも地面から「ぐわぁー」っとパワーを感じるものなのかと。そして今回用いられた植物と昆虫のステンシルは私とスタッフの2名だけで制作したものなのですが、このステンシルをもし参加者の一人一人のオリジナルのもので作られたなら、もっともっと豊かな多様性を持つ光景へと変わっていくのではないだろうか?

その期待が次回へと増すばかりです。

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10月10日(土)の活動概要

2010年2月11日(木)

 

参加者 

約80名(参加市民約70名+アート多摩スタッフ10名)

 

作業成果 

第1部 「開発以前の多摩の自然」

      長池側から約40メートル完成

第2部 「開発」

      第3部との接点を起点に長池側へ約35メートル完成

第3部 「新しい里山文化のかたち」

      80メートルを完成 

 

活動の経過

8:30  コアスタッフ集合

       土の採取作業と歩道の状況確認

9:00  スタッフ集合、打ち合わせ、役割確認

       アート(スタッフ5名)、土採取(2名)、受付(3名)の3チームに分かれる

9:15  準備作業

       アートチーム=歩道の清掃と作業基準の旗の設置

       土採取チーム=土の採取

       受付チーム=本部(ながいけの道の入り口)設営 

11:00 パブリックアート作成(10時を開始予定としていたが、にわか雨の影響もあり、1時間ほど出遅れる)

       アートチーム=第3部との接点を起点とし、長池側に向かって開始する。(午前中の段階で約20メートル完成)

       受付チーム=通行する人に参加を呼び掛けるとともに、第3部の制作を開始する。

       土採取チーム=1人は受付チームに加わり、もう1人は撮影にまわる。

12:00 昼食

       チームごとにローテーションで昼食をとる

13:00 パブリックアート作成

       アートチーム=引き続き第2部の制作を行う。

       受付チーム=引き続き市民参加の呼びかけと、第3部の制作を行う。

14:00 パブリックアート作成

       アートチーム=第2部が約35メートル終了した段階で、第1部の制作へと移る。

15:00 観賞ツアー

       制作を終了し、参加者の方々と一緒に、アーティストによる「観賞ツアー」を行う。

15:30 掃除・原状復帰

16:15 解散 

  

本番の模様

2010年2月3日(水)

 

はじめに、1つ訂正があります。

この「ながいけの道」のストーリー、「長池公園の歴史」を明確にするために、以前の第1部の「新しい里山文化のかたち」を第3部に、第3部の「開発以前の多摩の自然」を第1部に変更いたします。

 

「長池公園の歴史」

 

第1部 「開発以前の多摩の自然」(~1965)

  

  • 第1部では、開発以前からこの長池公園一帯を彩っていた「水(湧水池)」と「湿性植物」がキーワードになります。
  • 長池に隣接している地理的要因を生かし、絶滅してしまった湿生植物が長池から築池に向かって道の下から徐々に浮き出てくるように、また甦るように描かれていきます。
  • その主なモチーフは、湿生植物のスイレン、ヒルムシロ、カンガレイ、アキノウナギツカミ、ミズオトギリ、サワギキョウ、ジュンサイ、オモダカ、ウキヤガラ、ミズユキノシタ、また湿性自然林のハンノキです。
  • その描かれるモチーフたちは、水の流れのようにうねる曲線となって描かれ、いつしか多摩丘陵(肥沃な大地)へと変化していきます。
  • そしてその肥沃な大地は開発の音とともに第2部「開発」へとつながっていきます。

 

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第2部 「開発」 (1965~2005)

 

  • ながいけの道の中間地帯には、多摩ニュータウンの開発を大胆な幾何学模様で描いていきます。
  • その幾何学模様は、空から街を見下ろした地形図と重なり、多摩ニュータウンの基本概念となった「近隣住区理論」を暗示しています。
  • そこには自然と人工との衝突が激しく描かれ、人工と開発への賛美と不安とが織り混ざっているイメージです。
  • 「開発」を象徴的に表すその無機的な形は、第1部と第3部の場所で描かれる自然の有機的な形と対をなします。 

  

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第3部 「新しい里山文化のかたち」 (2005~)

 

  • 第3部では、主に子供たちが、この長池公園で目にすることができる植物や昆虫たちを自由に描くことができます。
  • 多摩ニュータウン開発を通して失われてしまった自然をもう一度考え、私たちと自然とのあり方とは何か?という問いのもと、古来より培ってきた日本の文化である「里山の考え」を振りかえり、現代の新たな形をここでは創造していきます。
  • また、未来を担う子供たちにこの里山の文化を託し、これからの新しい里山文化の形をこの場所から外へと発信していってほしいという願いがこめられています。

 

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はじめに

2010年2月2日(火)

ご無沙汰しておりました、玄也です。

昨年度の10月10日に実施されましたパブリックアートプログラム「ながいけの道」のご報告が大変に遅れました。

 

はじめに、この「ながいけの道」を実施するにあたり、多大にご協力していただきました長池公園のスタッフの皆様をはじめ、昨年7月のワークショップから参加してくださいましたたくさんの市民の皆様に改めてお礼を申し上げます。ありがとございました。

 

この日の結果から先に申し上げますと、残念ながらこの1日で300メートルの作品を完成することができませんでした。

しかし、昨年の7月から始まったワークショップを通して、少しずつこの「ながいけの道」に興味を示してくださる市民の方々が増え、このプログラムが当初の提案内容よりも一段と深く発展することができたことを実感しております。そしてなによりも10月10日に、市民の皆様とNPOスタッフ、アーティストを合わせ、約80名もの参加者によりこのプログラムを実施することができたことを大変に嬉しく思っております。

もちろん、その嬉しさを一度限りのものに終わらしてしまうのではなく、今年度もこの「ながいけの道」を市民の皆さんと一緒に発展的に継続していき、その嬉しさと楽しさをより広く共有していけたらと思っております。

そして、この「ながいけの道」が、この地に根を張り、一輪の美しい花になってくれることをアーティストとして望んでいます。

  

それでは当日を振り返り、その模様を画像や動画を交えてお伝えしていくと同時に、新たな課題と今年度の実施予定についてお話していきたいと思います。

 

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